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論理的読解(人文系の文章)- 問題16

問題

次の文章を読み、設問1つ1つについてA・B・Cのいづれに当てはまるか答えなさい。

 芸術作品における「作者の死」という概念は、二十世紀後半の文学理論において重要な転換点を示している。従来、作品の意味は作者の意図によって決定されると考えられてきたが、この理論的転回により、作品は作者から独立した存在として捉えられるようになった。読者は単なる受動的な受容者ではなく、作品の意味を能動的に構築する主体として位置づけられる。
 この変化は、創作行為そのものの理解にも大きな影響を与えている。作者は自らの意図を完全にコントロールできる絶対的な存在ではなく、言語や文化的コンテクストに制約された存在として理解されるようになった。作品は作者の個人的な表現というよりも、既存のテクストや文化的記号の再編成として捉えられる。このような視点から見ると、創作とは既存の要素を新たに組み合わせる行為であり、完全に独創的な創造は存在しないということになる。
 さらに、デジタル時代における創作環境の変化も、この議論に新たな次元を加えている。インターネット上では、テクストの境界が曖昧になり、集合的な創作や協働的な編集が日常的に行われている。ここでは、単一の作者という概念そのものが問い直されている。ウィキペディアのような集合知プラットフォームでは、無数の匿名の編集者によって内容が継続的に更新され、最終的な「作者」を特定することは不可能である。
 このような現代的な創作環境は、従来の著作権概念にも挑戦を突きつけている。個人の創造性を保護するという著作権の理念は、集合的で流動的な創作プロセスにおいてどのような意味を持つのだろうか。作品の所有権や責任の所在が曖昧になる中で、新たな創作倫理の構築が求められている。
  • A. 本文から論理的に考えて、設問文は明らかに正しい。
  • B. 本文から論理的に考えて、設問文は明らかに間違っている。
  • C. 本文の内容だけからでは、設問文が正しいか間違っているかは判断できない。

設問

1. 「作者の死」という理論的転回により、読者は作品の意味を能動的に構築する主体として位置づけられるようになった。
2. 現代の創作理論では、作者は自らの意図を完全にコントロールできる絶対的な存在として理解されている。
3. ウィキペディアのような集合知プラットフォームでは、単一の作者を特定することが困難である。
4. デジタル時代における集合的創作の発展により、従来の著作権制度は完全に無効化されている。
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author-icon編集者Yuka
2021年7月に入社し、CareerMineをはじめとする就活メディアの編集を手掛ける。 以前は広告代理店でメディアプランナーとして、広告やキャンペーンの企画を担当。 『玉手箱対策問題集』では掲載している記事のチェック、編集、ライター管理、コンテンツ制作などを行ってる。また自身もライターとして記事執筆も担当。
author-icon監修者gen
1990年生まれ。大学卒業後、東証一部上場のメーカーに入社。その後サイバーエージェントにて広告代理事業に従事。 現在はサイバーエージェントで培ったWEBマーケの知見を活かしつつ、CareerMineの責任者として就活生に役立つ情報を発信している。 また自身の経験を活かし、学生への就職アドバイスを行っている。延べ1,000人以上の学生と面談を行い、さまざまな企業への内定に導いている。
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