論理的読解（人文系の文章）- 問題47

問題

次の文章を読み、設問1つ1つについてA・B・Cのいづれに当てはまるか答えなさい。

　美の概念は、人類の歴史を通じて絶えず変化し続けてきた。古代ギリシャでは、美は数学的な比例と調和に基づく客観的な性質として理解されていた。プラトンは美を永遠不変のイデアとして捉え、現実世界の美しいものはその不完全な模倣であると考えた。一方、アリストテレスは美を秩序、対称性、明確さの統一として定義し、より経験的なアプローチを取った。
　しかし、18世紀に入ると、カントによって美の主観性が強調されるようになった。カントは美的判断を「目的なき合目的性」と表現し、美は対象そのものの性質ではなく、観察者の認識能力との関係において成立するものだと主張した。この転換により、美は客観的な基準から解放され、個人の感性や文化的背景によって左右される相対的な概念として理解されるようになった。
　現代において、美の概念はさらに複雑化している。大衆文化の台頭により、従来の高尚な芸術と大衆的な娯楽の境界が曖昧になり、美の基準も多様化した。また、グローバル化の進展によって異なる文化圏の美意識が交錯し、単一の美的価値観では捉えきれない状況が生まれている。さらに、デジタル技術の発達は、バーチャルな美や人工的な美を生み出し、自然な美との区別を問い直すきっかけを与えている。
　このような変遷を経て、現代の美は固定的な概念ではなく、時代や文化、技術の変化とともに絶えず再定義される動的な概念として捉えられるようになった。美を理解するためには、その歴史的変遷と文化的多様性を踏まえた複合的な視点が不可欠である。

A. 本文から論理的に考えて、設問文は明らかに正しい。
B. 本文から論理的に考えて、設問文は明らかに間違っている。
C. 本文の内容だけからでは、設問文が正しいか間違っているかは判断できない。

設問

1. カントは美的判断を「目的なき合目的性」と表現し、美は観察者の認識能力との関係において成立するものだと主張した。

2. 古代ギリシャにおいて、美は主観的な感性に基づく相対的な概念として理解されていた。

3. 現代のデジタル技術の発達は、従来の芸術作品の商業的価値を大幅に向上させている。

4. 現代において美の概念は、時代や文化、技術の変化とともに絶えず再定義される動的な概念として捉えられている。

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編集者Yuka

2021年7月に入社し、CareerMineをはじめとする就活メディアの編集を手掛ける。以前は広告代理店でメディアプランナーとして、広告やキャンペーンの企画を担当。『玉手箱対策問題集』では掲載している記事のチェック、編集、ライター管理、コンテンツ制作などを行ってる。また自身もライターとして記事執筆も担当。

監修者gen

1990年生まれ。大学卒業後、東証一部上場のメーカーに入社。その後サイバーエージェントにて広告代理事業に従事。現在はサイバーエージェントで培ったWEBマーケの知見を活かしつつ、CareerMineの責任者として就活生に役立つ情報を発信している。また自身の経験を活かし、学生への就職アドバイスを行っている。延べ1,000人以上の学生と面談を行い、さまざまな企業への内定に導いている。

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