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論理的読解(人文系の文章)- 問題63

問題

次の文章を読み、設問1つ1つについてA・B・Cのいづれに当てはまるか答えなさい。

 音という現象は、単なる物理的な振動を超えて、人間の認知や文化形成において重要な役割を果たしている。言語学者ソシュールが指摘したように、言語の音韻体系は恣意的でありながら、その体系内では厳密な規則性を持つ。日本語の音韻体系もまた、その独特な構造によって日本人の思考様式や美意識に深く影響を与えてきた。
 とりわけ注目すべきは、日本語における音の象徴性である。擬音語や擬態語の豊富さは世界的に見ても特異であり、これらの表現は単に音を模倣するだけでなく、感覚や感情の微細な差異を音の響きによって表現する。「さらさら」と「ざらざら」、「ひらひら」と「ぺらぺら」といった表現の違いは、音韻の差異が意味の差異と密接に結びついていることを示している。
 さらに、日本の伝統的な音文化において、音は空間性と時間性の両方を持つものとして認識されてきた。能楽における「間」の概念や、茶道における湯の沸く音への注意深い傾聴は、音を単なる聴覚的現象ではなく、精神的な深みを持つ体験として捉える文化的態度を表している。これは西洋的な音楽理論における音の数学的・構造的理解とは異なる、より包括的な音への接近法といえる。
 現代のデジタル社会においても、この音への感受性は重要な意味を持つ。人工的に作られた音環境の中で、人間は本来的な音への感覚を失いつつあるが、同時に新たな音の創造や体験の可能性も生まれている。音という現象を通じて、人間の感性と文化の本質を問い直すことが求められているのである。
  • A. 本文から論理的に考えて、設問文は明らかに正しい。
  • B. 本文から論理的に考えて、設問文は明らかに間違っている。
  • C. 本文の内容だけからでは、設問文が正しいか間違っているかは判断できない。

設問

1. 日本語の擬音語や擬態語は、音韻の差異によって感覚や感情の微細な違いを表現する特徴を持っている。
2. ソシュールは言語の音韻体系が完全に規則性を欠いた無秩序なものであると主張した。
3. 西洋音楽理論における音の理解は、日本の伝統的な音文化よりも芸術的価値が高い。
4. デジタル社会の発展により、人間は本来的な音への感覚を完全に失ってしまった。
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author-icon編集者Yuka
2021年7月に入社し、CareerMineをはじめとする就活メディアの編集を手掛ける。 以前は広告代理店でメディアプランナーとして、広告やキャンペーンの企画を担当。 『玉手箱対策問題集』では掲載している記事のチェック、編集、ライター管理、コンテンツ制作などを行ってる。また自身もライターとして記事執筆も担当。
author-icon監修者gen
1990年生まれ。大学卒業後、東証一部上場のメーカーに入社。その後サイバーエージェントにて広告代理事業に従事。 現在はサイバーエージェントで培ったWEBマーケの知見を活かしつつ、CareerMineの責任者として就活生に役立つ情報を発信している。 また自身の経験を活かし、学生への就職アドバイスを行っている。延べ1,000人以上の学生と面談を行い、さまざまな企業への内定に導いている。
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