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論理的読解(人文系の文章)- 問題86

問題

次の文章を読み、設問1つ1つについてA・B・Cのいづれに当てはまるか答えなさい。

 言語は単なる情報伝達の手段ではない。それは思考そのものを形作り、私たちの世界認識を根本的に規定する存在である。フランスの哲学者メルロ=ポンティが指摘したように、言語は「身体的経験」と密接に結びついており、私たちは言葉を通じて世界と関わり、世界を理解している。
 この言語の創造的側面は、特に翻訳という営みにおいて顕著に現れる。翻訳とは単語の機械的な置き換えではなく、異なる言語文化圏の思考様式を橋渡しする創造的行為である。日本語の「間」という概念を英語に翻訳する際、単に「space」や「pause」と訳すだけでは、その文化的含意は失われてしまう。翻訳者は、言語の背後にある世界観そのものを理解し、それを別の言語体系で再構築しなければならない。
 現代のデジタル社会において、機械翻訳技術の発達は目覚ましいものがある。しかし、AIによる翻訳が如何に精度を高めても、言語の持つ文化的・感情的ニュアンスを完全に捉えることは困難である。なぜなら、言語は論理的構造だけでなく、その言語を使う人々の歴史的経験や集合的記憶と不可分に結びついているからである。
 言語の本質を理解するためには、それを単なる記号システムとして捉えるのではなく、人間の存在様式そのものとして認識する必要がある。言葉は私たちが世界を切り取り、意味を与える道具であり、同時に私たち自身を形作る力でもある。この二重性こそが、言語という現象の最も興味深い側面なのである。
  • A. 本文から論理的に考えて、設問文は明らかに正しい。
  • B. 本文から論理的に考えて、設問文は明らかに間違っている。
  • C. 本文の内容だけからでは、設問文が正しいか間違っているかは判断できない。

設問

1. メルロ=ポンティは言語が身体的経験と密接に結びついていると指摘している。
2. 翻訳は単語の機械的な置き換えによって十分に行うことができる。
3. AI翻訳技術は将来的に人間の翻訳者を完全に代替することになる。
4. 言語は世界を切り取り意味を与える道具であると同時に、私たち自身を形作る力でもある。
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author-icon編集者Yuka
2021年7月に入社し、CareerMineをはじめとする就活メディアの編集を手掛ける。 以前は広告代理店でメディアプランナーとして、広告やキャンペーンの企画を担当。 『玉手箱対策問題集』では掲載している記事のチェック、編集、ライター管理、コンテンツ制作などを行ってる。また自身もライターとして記事執筆も担当。
author-icon監修者gen
1990年生まれ。大学卒業後、東証一部上場のメーカーに入社。その後サイバーエージェントにて広告代理事業に従事。 現在はサイバーエージェントで培ったWEBマーケの知見を活かしつつ、CareerMineの責任者として就活生に役立つ情報を発信している。 また自身の経験を活かし、学生への就職アドバイスを行っている。延べ1,000人以上の学生と面談を行い、さまざまな企業への内定に導いている。
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