論理的読解（人文系の文章）- 問題93

問題

次の文章を読み、設問1つ1つについてA・B・Cのいづれに当てはまるか答えなさい。

　「和」という概念は、日本文化の根幹をなす思想として、長い歴史の中で独自の発展を遂げてきた。聖徳太子の十七条憲法における「和を以て貴しとなす」という理念は、単なる協調や平和を意味するだけでなく、多様性を認めながらも全体の調和を重視する日本的な価値観の原型を示している。この「和」の精神は、異なる意見や立場の対立を避けるのではなく、むしろそれらを包含しながら、より高次の統合を目指すものであった。
　現代社会においても、この「和」の概念は様々な場面で重要な意味を持っている。組織運営や人間関係において、個人の主張を完全に抑制するのではなく、相互の理解と配慮を通じて集団としての最適解を見出そうとする姿勢は、まさに「和」の現代的な表れといえる。しかし、グローバル化の進展により、この日本的な「和」の価値観は、時として明確な意思表示や積極的な自己主張を重視する他の文化的価値観との間で緊張関係を生み出すこともある。
　文化人類学的な視点から見ると、「和」は日本社会特有の集団主義的傾向と密接に関連している。個人の利益よりも集団の利益を優先し、長期的な関係性の維持を重視するこの傾向は、日本の社会構造や経済活動にも深く根ざしている。ただし、この「和」の追求が時として創造性や革新性を阻害する要因となる可能性も指摘されており、現代の日本社会は伝統的な「和」の価値観と新しい時代の要請との間でバランスを模索している状況にある。

A. 本文から論理的に考えて、設問文は明らかに正しい。
B. 本文から論理的に考えて、設問文は明らかに間違っている。
C. 本文の内容だけからでは、設問文が正しいか間違っているかは判断できない。

設問

1. 聖徳太子の十七条憲法における「和」の理念は、多様性を認めながらも全体の調和を重視する日本的な価値観の原型を示している。

2. 現代の組織運営において「和」の精神は、個人の主張を完全に抑制することで集団の最適解を見出すことを重視している。

3. 日本の「和」の価値観は、他国の文化的価値観と比較して優れた特徴を持っている。

4. 「和」の追求が創造性や革新性を阻害する要因となる可能性があることが指摘されている。

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編集者Yuka

2021年7月に入社し、CareerMineをはじめとする就活メディアの編集を手掛ける。以前は広告代理店でメディアプランナーとして、広告やキャンペーンの企画を担当。『玉手箱対策問題集』では掲載している記事のチェック、編集、ライター管理、コンテンツ制作などを行ってる。また自身もライターとして記事執筆も担当。

監修者gen

1990年生まれ。大学卒業後、東証一部上場のメーカーに入社。その後サイバーエージェントにて広告代理事業に従事。現在はサイバーエージェントで培ったWEBマーケの知見を活かしつつ、CareerMineの責任者として就活生に役立つ情報を発信している。また自身の経験を活かし、学生への就職アドバイスを行っている。延べ1,000人以上の学生と面談を行い、さまざまな企業への内定に導いている。

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