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論理的読解(人文系の文章)- 問題97

問題

次の文章を読み、設問1つ1つについてA・B・Cのいづれに当てはまるか答えなさい。

 「善」という概念は、人類の思想史において常に中核的な位置を占めてきた。古代ギリシアにおいてアリストテレスは、善を「すべてのものが目指すところのもの」として定義し、人間の行為の最終目的として位置づけた。彼にとって善とは、単なる道徳的規範ではなく、存在論的な価値であり、人間の本性に根ざした自然な志向性であった。
 しかし、善の内容については時代と文化によって大きく異なる解釈が示されてきた。カントは善を道徳法則への服従として捉え、功利主義者たちは最大多数の最大幸福として理解した。一方、東洋思想においては、孔子の仁や老子の無為自然など、西洋とは異なる善の概念が発達した。このような多様性は、善が普遍的な価値でありながら、同時に文化的・歴史的に構築される概念でもあることを示している。
 現代社会において善の問題はより複雑になっている。科学技術の発達は新たな倫理的課題を生み出し、グローバル化は異なる価値体系の接触を促進している。環境問題、生命倫理、人工知能の発達など、従来の善悪の基準では判断困難な問題が次々と現れている。
 こうした状況において、我々は善を固定的な概念として捉えるのではなく、対話と議論を通じて絶えず再構築していく動的なプロセスとして理解する必要があるのではないだろうか。善とは、完成された答えではなく、人類が共に歩み続ける永続的な問いなのかもしれない。
  • A. 本文から論理的に考えて、設問文は明らかに正しい。
  • B. 本文から論理的に考えて、設問文は明らかに間違っている。
  • C. 本文の内容だけからでは、設問文が正しいか間違っているかは判断できない。

設問

1. アリストテレスは善を人間の行為の最終目的として位置づけ、道徳的規範ではなく存在論的な価値として捉えていた。
2. カントと功利主義者たちは、善の概念について基本的に同じ立場を取っていた。
3. 現代の科学技術の発達により生じた新たな倫理的課題は、従来の善悪の基準で完全に解決可能である。
4. 東洋思想における善の概念は、西洋思想の影響を強く受けて形成されたものである。
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author-icon編集者Yuka
2021年7月に入社し、CareerMineをはじめとする就活メディアの編集を手掛ける。 以前は広告代理店でメディアプランナーとして、広告やキャンペーンの企画を担当。 『玉手箱対策問題集』では掲載している記事のチェック、編集、ライター管理、コンテンツ制作などを行ってる。また自身もライターとして記事執筆も担当。
author-icon監修者gen
1990年生まれ。大学卒業後、東証一部上場のメーカーに入社。その後サイバーエージェントにて広告代理事業に従事。 現在はサイバーエージェントで培ったWEBマーケの知見を活かしつつ、CareerMineの責任者として就活生に役立つ情報を発信している。 また自身の経験を活かし、学生への就職アドバイスを行っている。延べ1,000人以上の学生と面談を行い、さまざまな企業への内定に導いている。
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